HO-6.5の歴史 No.1 2010.7.31

弊工房でもHO-6.5のキットを量産することになりましたので,少しHO-6.5について知るところを書いてみたいと思います.HO-6.5の歴史はメルクリンZゲージの歴史とほぼシンクロしています.Zゲージの小型Cタンク 8800は格好のHOナローの小型蒸気に適用出来る素材となり、恐らく1970年初頭−Egger Bahn倒産後8800シャシ市販直後−には最初のHO-6.5蒸気機関車モデルが市場に少数出たものと思われます。自信がある訳ではないのですが、多分、それは当時の西ドイツのZUBAという会社です。(BEMOとかドイツに4文字が多いのは何故でしょう?)8800にプラ整形のボディを重ねただけのものですが、メジャーワークスの機関車、Henschelの小型機関車です。多分、これが市販で一番古いHO-6.5モデルではないかと思っています。Egger Bahn-Jouef-Liliputの流れの中で隠れてしまっていますが、Egger Bahnが倒産した後、ドイツでも我々日本人には知れず、ZUBAが供給を始めています。唯、その出来たるやもう凄い凄い。HO-9のアイテムを1個所有していますが、車体のど真ん中にパーティングラインが入っています。HO-9の製品はそうとうオーバスケールのCタンクで単にゲージが9mmという特徴のない機関車です.走行状態も走ったり走らなかったりで,Egger BahnHOナローとしては非常に良質の製品を生産していたことが窺い知れます.

8800シャシを使ったHO-6.5の製品はその後も続きます.Merker und Fischerでは,鉱山鉄道を意識したトータルな製品パッケージを供給していましたし,機関車もホワイトメタルキットでHenschelとバテロコのボディキットで供給していました.現在のWestmodelも極短期ですが,Intermodelという名前で8800を使用し,HOn2の森林鉄道用機関車として,1970年代のカタログには掲載されています.(何故か知らないが小生宛にオーナーからカタログが送られて来たのですが,多分,当時高校生?だったので,とても買えませんでした)なお,Westmodelではその後,極めて優秀で(かつ高価な)HO-6.5の製品をリリースし,一部のコレクターに流れました.Heeresfeldbahlokはその例です.その後のM3M(これ訳しようのない変なメーカー名です.Mattheus氏のPrivate brandでした)ShomaDeimler等々の内燃機関車を経て,自前のパーツでHO-6.5HOffFeldbahn)と称してDeutzOMZ-122f型機関車を中心に機関車を供給しました.HOn2HO-7)も手作りのレールを供給するといった熱の入れようでした.HenschelShomaFaulhaberモーターを採用した高級キットでスケールスピードさえも考慮するメーカーでした.キャブフルディテールのHenschelMONTAという機関車もアナウンスされていましたが,残念ながらこれを世に出す前に,オーナーのBurmester氏は何故かナロー製品の供給を止めてしまいました.

日本でも8800シャシを使った抜きなしのエッチングが出されましたが,完成に可成り努力しなければならないこと,8800シャシの高価感からか,余り普及はしなかったようです.その他,エッチング板で,中国重慶のグースが発売されましたが,これもHO9/HO-6.5用のボディとして売り出されています.元々が2フィートの機関車らしく,HO-6.5にした方が工作も簡単ですし,自然です.

このように,HO-9同様,可成り歴史を持つジャンルですので,弊工房でも何とかこれを継承したいと考えています.


協三 東洋活性白土2号機です.
老舗の抜き無しのエッチング板を糸鋸でしこしこと切り抜いて作りました.所謂Photo-engravingですが,今では懐かしい商品です.じゃあ今から作るかと言われると引いてしまいますが・・・車体をマルーンにして一寸派手にしてみました.同時期に加藤3トンの抜き無しエッチング板も出ていました.この前,偶々取り出してみたら,オーバースケールでした.当時は今のように極小モーターも無く,科学技術の発展を感じました.

中国重慶のナロー機関車です.大阪の模型点がリリースした抜きエッチングです.実物は知らないので,ネコパブリッシングの名取取締役に色を伺って作りました.上周りだけのキットでしたので,小型DCモーター1軸駆動で簡単に仕上げてしまいました.十分ウエイトを入れる余地はあるのに入れていない手抜き作品です.
日本で商品化されたHO-6.5キットの完成例