幻のBagnall機関車 Excelsior No.1 2010.5.4

Webも開設して,第1弾の製品の頒布までこぎ着けました.その後も新製品に関して色々な企画が出てきて,進行形の小型機関車が開発途中でてんこ盛りになっています.それらの開発の話も絡めて幾つかのナローゲージ機関車の話を書いていこうと思っています.唯,BLOGにする程色々な話しもある訳ではなく,当面Web内掲載という形を採って行こうかと思っています.さて,第1話は・・・

 今やレア製品となった乗工社PU101シリーズのお話です.乗工社自身はもう存在しないので,これも書いて良いのだと思いますが,鉄道模型雑誌でPU101系で最高の出来と紹介された「バグナル」です.バグナルと言えば,イギリス蒸気の老舗です.Webmasterもへえエレガントな機関車だ,取りあえず,コレクションに買うとこかで素晴らしい模型設計でストレスなく組み立てて放ってありましたが,実はこれがバグナルの機関車ではないと知らされたのは,イギリス,Narrow Gauge Industrial Modelling Reviewの現編集長のRoy C. Link氏です.確か「日本でもイギリス蒸気は出てるよ」と写真を送った時に出た話なのでしょうか.呆けた頭では詳細は覚えていませんが「ああ,それデザインしたの俺ね,バグナルじゃない.Peckett & SonsGamecock(軍鶏)という機関車だよ.続編も企画されていたが,どうなったのかな」で2度びっくりです.よくよく調べてみるとGamecockは外側フレームの機関車でした.現存はしないようで姉妹機のJurassic他は物持ちのいいイギリスで動態保存されているようです.

 ギヨーカイの裏話には全く興味がありませんが何故彼のところに話が持ち込まれたのか,日本の要望なのか,イギリスでもJoe Worksの製品を出して欲しいというイギリス側の要望なのか分かりません.「で続編は作ったんだろ,残りの部品おくれ」とナロー乞食のWebmasterが頼んでみたところ,さあ企画倒れのようだ.会いに来た日本人ともうまくコミュニケーションが採れなかったし・・・」と代わりに送ってくれたのが続編のA3版デザインシートでした.これこそがBagnallの機関車であった訳です.第1作も予定の第2作も2フィートの超小型機関車です.特に2作目はサドルタンクがボイラの下にあるという日本では珍しい逆サドルのBタンクということが分かりました.2フィートになると流石に重心を落とす工夫が色々出ています.10HP20HP以下の機関車殆どボトムタンク(Well Tank)かこのようなWing Tankになってしまい,我々の馴染みのサイドタンクはほとんど無いようです.そりゃそうですよね.軌道が狭ければ狭いほどカーブとかでコロッと倒れてしまいそうです.名前はExcelsior.スタートレックで出てきた宇宙船の名前と同じです.これも現存しません.最後は従輪を付けられて鉄道敷設に使われてこれもスクラップ処理されたということです.これが約20年前の話.今のように頒布なんて思いもつきませんので,おい,出せやのお願いをLink氏にするだけで終わっていました。因みにLink氏デザインのキットでKerr Suartの0-4-0STは非常に美しいデザインで思わずHackworth弁装置をスクラッチで加えてしまいました。これはほぼコッペル弁(Max Orenstein式)と類似の機構.機構は簡単でも作りにくいことおびただしい.


Link氏デザインのKerr Stuartキット
1/76 9mm

 工場長と共同作業を始め,ある日「おい,ちょっとモニタで作って見ろ」と送られてきたのが,何とこのExcelsior.“先生,先生,これサイドタンクちゃいまっせ”と早速文句たらたら.2フィートのロッド駆動仕様となっていましたので,こんなもん走りませんでとブツクサ言いながらも「何じゃあこれは」絶叫しながらもやっと組終えることが出来ました.9mmで問題なく走っても,6.5mmでは著しく走行性能が低下します.あかん,ギヤ駆動でないと死点通過で止まります,ロケット機関車になりますわ,安全弁,インジェクタ,逆止弁も付けといたほうが格好ええのちゃいますかと好き放題言っていたら,それじゃ全く新しく作り直すので,エッチングの原図書いとけや,ゴルァと謂われ早々に設計図が送られてきて,おえっぷとなっています.大体,エゲレスの機関車なんか売れまへんで.とはかない抵抗を試みています.又,興味のある皆様はメイル等を下さい.5〜6台であれば,価額は高価になってしまいますが,1バッチ作ってもいいのかなと思っています.なお,キャブインテリア等の入れ込みかたは次回の新製品に活かします.

 まあでも可愛い機関車ですよ.ふふ.


HO-9のPeckettサドルタンクとHO-6.5のBagnallウイングタンク

現在開発中の原型の拘り-インテリアの圧力計の目盛と針が
彫り込まれています!

ロケット走りとはいえ、一応HO-6.5でロッド駆動という厳しい条件で走りましたので動画も御覧下さい.ロストの輪芯はOナローのように作る気をそそります。